予防接種による健康被害の救済制度と注意点について
2021/06/28
愛知を中心に東海地域で活動しているファイナンシャルプランナーの前田です。
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が徐々に進んでいますが、
アナフィラキシー(激しいアレルギー反応)等の副反応を心配する声も少なくありません。
予防接種で万が一健康被害が生じた場合、救済される制度はあるのでしょうか?
●救済制度の給付額は身体状況や治療日数によって異なる
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種に限らず、予防接種を原因とする健康被害は極めて稀なケースですが存在します。
そのような場合は「予防接種健康被害救済制度」により、市町村から救済給付を受けることが可能です。
制度の利用にあたっては健康被害を受けた人(または保護者)が市町村へ申請し、
市町村および厚生労働省が必要書類や症状のチェックを行った後、
厚生労働省が設置する外部有識者で構成される疾病・障害認定審査会で審査となります。
最終的な認定・否認(支給・不支給)は予防接種と健康被害の因果関係をもとに判断され、
認められる給付の種類には以下のようなものがあります。
①治療を受けた場合は、治療にかかった医療費の自己負担分と必要な諸費用
②障害が残ってしまった場合は、障害が残った子どもを養育するための年4回の障害児養育年金(18歳以上の場合は障害年金)
③亡くなった場合は、葬祭料と一時金(ワクチンの種類によっては一時金または年金)
それぞれの給付額は身体状況や治療日数によって異なりますが、
葬祭料は2021年4月現在で21万2,000円、死亡一時金は4,420万円(臨時接種およびA類疾病の定期接種の場合)と定められています。
●予防接種を受ける前に注意すべきポイントは?
上記のような救済給付があるとはいえ、なるべく予防接種による健康被害は避けたいところです。
接種を受ける前に医師へ伝えることなど、注意すべきポイントはあるでしょうか?
まず過去にアレルギー反応等を発症していれば予診票に記入し、その時の状況や原因の医薬品を、できるだけ詳しく医師に伝えることが大切です。
現在アレルギーで医療機関を受診している場合は、接種の可否を事前に相談しましょう。
予防接種と服薬している薬の組み合わせで、健康被害とならないかも心配な点ですが、
不整脈や血栓症の治療などに処方される「血液をサラサラにする薬」にも注意が必要です。
その薬が抗凝固薬なら出血が止まりにくい場合もあるため、接種後に注射した箇所を2分以上しっかり押さえるように推奨されています。
予防接種に際しては、自身の健康状態や服用中の薬との関係を把握しておくことが重要です。
わからない点は医師に聞くなど事前の確認が、健康被害のリスク軽減につながるでしょう。
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