2022年4月から改正される育児・介護休業法の概要【愛知のファイナンシャルプランナーがお伝えするお金の話】
2022/03/26
小さい子どもや介護が必要な家族のため、職場で休みを取りやすくするための枠組みが、少しずつ整備されています。
育児・介護休業法の改正も3段階に分けて行われますが、そのうち2022年4月施行分の内容について、ポイントを整理しましょう。
●育児休業に関する周知・意向確認を義務化
今回の改正は保護者の性別を問わず、仕事と育児を両立するために柔軟に休業できる状態を作ることを目的としています。
具体的に2022年4月1日からの改正ポイントは、以下の3点です。
(1)事業主に対して、育児休業を取得しやすい雇用環境整備や周知・意向確認を義務化
(2)妊娠や出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対して個別に周知・意向確認をする
(3)有期雇用労働者について育児・介護休業の取得要件を緩和(これまでの「引き続き雇用された期間が1年以上」の要件は撤廃)
上記(1)の義務を満たすためは、下記イ~ニのうちいずれかを実施しなければならず、可能な限り複数項目を行うことが望ましいとされています。
イ.育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
ロ.育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
ハ.自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
ニ.自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
また(2)について補足すると、事業主は該当の労働者に対して育児休業の取得意向の確認を行うと同時に、制度の内容や申し出先、給付や社会保険料の取り扱いといった事項を個別に周知しなくてはなりません。
●休業の取りやすさも従業員定着のカギに
育児休業の個別周知・意向確認において、事業者は休業取得を控えさせるような形で行ってはなりません。
また周知および意向確認の方法は面談(オンライン可)、書面交付、FAX(労働者が希望した場合のみ)、電子メール等(労働者が希望した場合のみ)のいずれかで行う必要があります。
社内的な実務が増える形にはなりますが、「言った」「言わない」をめぐるトラブル防止のためにも、できる限り話し合いの過程を記録しておくと良いでしょう。
事業者は以上の改正内容に合わせた体制整備を進めると同時に、休業取得について普段から相談しやすい雰囲気を作ることも大切です。
2022年10月からは「産後パパ育休(出生時育児休業)の創設」「育児休業の分割取得」、2023年4月からは「育児休業取得状況の公表の義務化」といった改正も予定されており、ルールの正しい理解は必須です。
給与や福利厚生の待遇面に加え、育児休業の取りやすさも従業員定着のカギになります。時代の変化に合わせ、柔軟な働き方を選択できる職場環境が求められています。
【参照】厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
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