地震保険は必要な保険です。【愛知のファイナンシャルプランナーがお伝えするお金の話】
2022/11/01
地震大国、日本では地震保険は必要保険です。自然災害はいつ、どこで起こるか分かりません。
地震保険の付帯率は全国平均で10年と比べると1割増えています。
それだけ地震への備えを気にされている人が増えています。
建物の耐震性も強くなっていますが、それでも不安は捨てきれません。
地震保険にまだ未加入の方、加入しているが内容が理解できていない方に向けて地震保険の内容について解説します。
●地震保険とは?
①法律に基づいて、政府と民間の損害保険会社が共同で運用している。
②地震災害による被災者の生活の安定に寄与することを目的としている。
③保険料は各社で共通となっている。
④利潤は一切無し。保険料は準備金として積み立てされます。
⑤火災保険にセットして契約することができます。地震保険のみの契約は受けていません。
⑥居住用建物またはその建物に収容されている家財が対象となります。
保険会社によって補償内容、保険料の違いがありません。(①、③)
地震保険でもう一度同じ家が建てられるという考えではありません。あくまでも当分の生活費や生活の安定を保つ役割となります。(②)
●お支払い例
・地震による倒壊
・地震による津波
・地震による焼失
※地震による火災は火災保険では補償されません。地震によって延焼・拡大した場合も同様です。
●こんな時は補償対象外
・保険契約者、被保険者の故意もしくは重大な過失による法令違反
・地震等における紛失、盗難
・地震が発生した翌日から起算して10日を経過した後に生じた事故
地震が起こったついでに保険で直す目的で故意的に建物、家財を破壊してもお支払いは出来ません。当たり前ですよね。
地震の後に空き巣や盗難にあったとしても、その補償は出来ません。
10日以上経過していれば地震との関連性か分からないので補償することができません。
●地震保険の保険金額
建物・家財ごとに火災保険の保険金額の30~50%の範囲内
ただし建物5000万円、家財1000万円が限度となります。
よくあるパターン
火災保険 | 地震保険 | |
建物 | 3000万円 | 1500万円 |
家財 | 500万円 | 250万円 |
●地震保険の対象
・建物 居住用の建物
・家財 1個または1組で30万円を除く貴金属は対象外
店舗や事務所などは対象外です。営業用事務機、什器、備品なども補償対象外となります。
建物も主要構造部分が補償となりますので。カーポート、塀、垣、フェンスなどは対象外となります。
●地震保険の損害認定
・建物
損害の程度 |
主要構造部(軸組、基礎、屋根、外壁等)の損害額 |
焼失または流失した床面積 |
全損 | 建物の時価の50%以上 | 建物の床面積の70%以上 |
大半損 | 建物の時価40%以上50未満 | 建物の床面積の50%以上70%未満 |
小半損 | 建物の時価20%以上40%未満 | 建物の床面積の20%以上50%未満 |
一部損 | 建物の時価3%以上20%未満 | - |
・家財
損害の程度 | |
全損 | 家財の損害額が時価の80%以上 |
大半損 | 家財の損害額が時価の60%以上80%未満 |
小半損 | 家財の損害額が時価の30%以上60%未満 |
一部損 | 家財の損害額が時価の10%以上30%未満 |
建物の損害については専門家が判定しなくてはなりませんが、家財の損害については保険会社の職員が行います。
地震の大規模災害となると専門家が1件1件回って確認していては保険金の支払いまでに時間が掛かりすぎます。
迅速な支払いをするため、普段は営業している職員が保険金判定のために駆り出されます。
●地震保険のお支払金額
損害の程度 | |
全損 | 地震保険金額の100%(時価が限度) |
大半損 | 地震保険金額の60%(時価の60%が限度) |
小半損 |
地震保険金額の30%(時価の30%が限度) |
一部損 | 地震保険金額の5%(時価の5%が限度) |
先ほどのよくあるパターンで「大半損」が認定された場合は60%が限度となるため、
建物から900万円(1500万円×60%)、家財から150万円(250万円×60%)、合計1150万円が支払いされることになります。
●地震保険の割引制度について
割引の種類 | 割引率 | 割引の適用条件 |
免震建築物割引 | 50% | 住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく免震建築物である |
耐震等級割引 |
50% 30% 10% |
・品確法に基づく耐震等級 ・国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級の評価指針」に基づく耐震等級を有している場合 |
耐震診断割引 | 10% | 地方公共団体による耐震診断または耐震改修の結果改正建築基準法における耐震基準を満たす場合 |
建築年割引 | 10% | 昭和56年6月1日以降に新築された建物である場合 |
※重複しての割引を受けることはできません。
●保険期間
1年から最長5年間
5年契約の場合支払い方法は5年分をまとめて支払う方法と年間で支払う方法が選択可能
一括払いの方がトータルの保険料は抑えることができる
●地震保険料控除
地震保険の払込保険料に応じて、一定の額がその年の契約者(保険料負担者)の課税所得から差し引かれ、税負担が軽減されます。
年間の地震保険料 | 控除額 | |
地震保険料 | 50,000円以下 | 全額控除対象 |
50,000円超 | 一律50,000円 |
5年分一括払いをしても保険料控除は毎年受けることができる。
●地震保険での支払い上限
東日本大震災のように地震は大災害になることがあります。
被害が甚大となり保険金の枯渇がないか心配することもあるかもしれません。
地震保険は支払限度額が12兆円と定められています。
万が一この額を超えてしまう時は削減されることになります。
算出式は以下の通りです。
支払保険金=算出された保険金の額×( 12兆円 / 算出された保険金の総額)
ちなみに2011.3.11に発生した東日本大震災では支払保険金の総額は1兆2881億円でした。
巨大地震が発生した場合でも保険金の支払いに支障をきたさないために、火災保険の保険金額の50%が上限となっています。
日本に住み続ける限りは地震発生は身近なリスクであり、備えるべき対策です。
政府主体で作られている保険であるため、所得控除の対象にもなります。
保険を使うことがないことが一番ですが万が一の備えとして必須の保険となります。
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